種の芽吹き

EXEC_FLIP_SEEDING/.

 ――ねぇ、起きて? あなたの夢が芽吹いたよ――

 優しい声がした。

 ――ともに謳いましょう。あなたの夢の続きを――

 長い夢をみていた。


 ……私の目は、もう見えない
 ――いいえ、見えるでしょう? 新たな大地を喜ぶ人々の姿が――

 ……私の耳は、もう聞こえない
 ――いいえ、聞こえるでしょう? 人と星がともに謳うこの声が――

 ……私の肌は、もうどこにもない
 ――いいえ、感じるでしょう? 春を告げる世界の息吹が――

 ……私の声は、もう届かない
 ――いいえ、届いていますよ。私たちだけではない。全ての人々に、あなたの詩が――


 柔らかな声に先導され、私が謳い続けた詩が生まれ変わる。


「――――はい。希望を夢見続けた種の芽吹きを、ともに謳います」


 ……私の姿は、もう無いけれど。
 この美しい星のため、夢を謳い続けています。ずっと、ずっと……

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