ゆずみや退屈堂


 その店は、ちょっとばかし変わっている。
 まず入口が二つある。片方は雪だるまと氷が入った飲み物が描かれていて、もう一方はサボテンと温かそうな飲み物が描かれている。
 室内はカーテンで仕切られていて、片方はクーラーがガンガン、もう一方はヒーターがガンガンにかけられている。もちろん、年中どんな季節だろうと変わらずに。
 ちょっとお店を覗いてみようか。

「ちょっと雪だる! こっちに冷気漏れてるんだけど! くっそ寒いわ!」
「はぁっ!? それこっちの台詞! 暖気やばくて溶けそうなんですけど!」

 ……驚かれると思うが、これが日常。
 ここの店は二つに分かれており、片やアイスオンリーで冷凍庫のような室温を保つ雪だるまさんが、片やホットオンリーで昼の砂漠並みの室温に拘るサボテンさんが喧嘩しながらやっている不思議なお店なのです。

 しかし、季節は冬真っ只中。
 雪だるまさんはたいへん暇をしておりました。

「あー……ヒマ。お客さんドコー?」
「だァれがこんな寒い中アイスオンリーのそっちに行くのさ」

 カーテンの向こうからサボテンさんが応える。
 そんなことを言うサボテンさんも、とても忙しいわけではない。室温が高すぎてお客さんが「サウナよりもきつい」と逃げ出してしまうからだ。

「んなことないさ! 予約あったから今日の売上、三千円超えてるしー!」
「ハンっ! 客数はこっちが勝ってるんですけど? もう十人超えちゃったよ」

 とても低レベ――げふん、つまりどちらも暇をしています。
 お客さん、この二人のお店に行ってみてはいかがですか? ちょっと居座るのは大変ですが、この二人の店主の会話はとっても面白くて、絶対退屈しませんよ? ……多分ね。

夕純さんへ。申し訳ございませんでしたー!(土下座
何故か真っ先に思いついた『雪だるまとサボテンの漫才』が消えずに……。
あばばばば――どうしてこうなった