七ツ海


 この世界には七つの海がある。大きさ、場所が違うだけではない。海水だけでなく、マグマや雲、電気の海のモノだってある。海とはつまり、死地と同等の意味合いを持っている。
 だが、そんな場所を制覇してみたいと考えた人間はいなかっただろうか?
 もちろん――否である。
 障害が多ければ多いほど燃える人間がいた。七つの海を全て攻略するため、ありとあらゆる手段を用いた。
 そして。

「ふぅ……」

 時刻は深夜。船は港に止まったまま、夜風とさざ波を受け、赤子をあやす母親のようにゆっくりと揺れていた。
 甲板の上でその揺れを感じながら、この船の持ち主であり、世界で一番の馬鹿者と呼ばれている男が夜空を見上げていた。
 組まれた腕が少し震えているのがわかる。興奮か恐怖か……両方なのだろう。
 明日、この船は最後の海へと挑む。どんな場所なのかは一切わかっていない。誰も踏み入れたことのない、前代未聞の海だった。
 そこを制覇すれば、彼の念願の夢は叶う――だが、素直に喜べないのは、その道の険しさが計り知れないからだろう。
 いままでの海でも危険は数え切れないほどあった。仲間を何人も失ってきた。
 それでも彼が諦めなかったのは、ひとえに仲間たちが残した言葉のおかげだ。

『迷わず進め。七つの海を望むまで――』

 その言葉を、ようやく明日叶えられる。
 こんなところで心を折ってしまったら全てが台無しになってしまう。

「……さぁ、行こうか」

 自分自身にかけた声に。

「船長っ!」

 いつの間にか集っていたらしい、大切な仲間たちが応えてくれた。
甲姫さんへ。なんだかありきたりな海賊ものに……(汗
あの素敵な夢みたいなお話を書いてみたかったです、はい。
こんな拙いもので申し訳ないですが、貰ってくださると嬉しいです!